遺産分けの現場:権利と義務

更新日:2024-11-13

遺産分けの現場:権利と義務

遺産分けの現場の声

遺産を分けるとなった場合、気をつけなければいけないのは
家族との話し合いです。

「俺はコレとアレが欲しい。」
「お兄ちゃんは親に色々してきてもらったでしょ。
すこし多く遺産を貰わないと納得できないわ」

昔はおもちゃだった喧嘩は、
遺産で争うようになり、お金で揉めたら
絶縁状態にまで進むこともあるでしょう。

そのようなこときっと親は望まないし、
専門家としてもすこしでも良い方向になるよう
まとめてあげたいところですよね。

先般、ご相談に来られた姉弟の遺産分けのお話

弊社セミナーを聴いた弟さんから、
親が亡くなったので、姉と一緒に相談に行きたい。
遺産分けで意見が合わない可能性もあり、
お話しを聞いてもらいたい、とのことでした。

姉弟ともに東京在住、親は三重。
その実家とお金をどのように分けるか、
お話しの肝心なところです。


「実家は2,000万円、現金3,000万円
合計5,000万円を2等分にして2,500万円ずつ遺産分けしたい」
弟は実家が欲しいのよね、それなら私は現金2,500万円
もらえたらと考えています」

「俺の考えは違うんだ。墓守りや地元のお祭りはどうするの?
(どうやら、お祭りの主催を担っている一家)
東京の家を引き払って、三重に俺が住んで親の後を継ぐ。
実家は俺がもらい、現金を折半したい。」

「法律で遺産は折半ってなっているのだから、
私は嫌よ」

「そうしたら、実家も折半だね。
でもそれはお姉さんの本望ではないんでしょ」

このようなお話しが30分ほど続き、
私から次のことをお姉様に訊いてみました。
「お姉さんは現金で2,500万円を貰いたいんですね。
しかしお話しを聞いていると、墓守理やお祭りの
ことは気にされています。
例えば、墓守理墓守りやお祭りを、
輪番制のようにして1年ごとに担当者を
弟→姉というように変えるというのは
いかがでしょう?」

「松尾さん、私はそれでもいいです」

「…。正直、東京で仕事しながら
できないわ。(少し沈黙が続き)
弟が引っ越ししてまでやってくれるのね
私も実家にたまに遊びに行っていいのかしら」

弟さんは、もちろん。と答えて
遺産分けは弟さんの意見でまとまりました。

私たちのすべきこと

遺産を半分貰う権利はたしかにあります。
併せて、“墓守理墓守りや実家/地元のこと(義務)”などを
引き継ぐことも考えなければならないのでは
ないでしょうか
私たち専門家でさえ、
つい、遺産分けを“権利(≒金額)の面”だけで
考えてしまいがちです。

“負担すべき義務はどうなる?”
このような視点を持ち、お客様の相談に
対応していくことで、遺産分けの肝心を
掴めるのではないでしょうか。

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